子供の頃、両親に旅行へ連れて行ってもらいました。旅館の玄関でお迎えしてくださった方が、玄関の向かいにある大きな岩を指さして、覗いてごらん?って言ったんです。素直に大きな岩の隙間を覗くと……なにか光ってる!黄緑色に光ってる!
あまり記憶力に自信のない筆者ですが、この時の記憶は鮮明に覚えています。
今思えば、それはヒカリゴケかなにかの一種で、自発的に光っていたわけではなかったのでしょう。夜光(蓄光)シール(蛍光灯の下や明るいところに置いておいて、暗い場所へ持っていくと黄緑色に光る)なんかが、流行っていた頃だったので、すごく不思議な気持ちがしました。
長じて現在、光るキノコがあると知って、興味津々。キノコは正確には菌類で、酵母やカビも菌類に含まれるので植物じゃないですが、このブログではキノコも紹介させてもらいますね。
それでは、不思議な光るキノコの世界へまいりましょう。
光るキノコって何?

このイラストはギンガタケという光るキノコの昼間の姿。そして、

夜になると、こんな感じに光ります。このキノコ、実は2mmから3mmしかありません。これがスダジイの木の幹に、みっしりと群生した姿が銀河のように見えるのが名前の由来です。

光るキノコと言っていますが、実は発光菌類というのが正しいようです。世界には100種類以上の光る菌類がいます。日本には25種類ほどの光る菌がいるそうです。でも、キノコになると光らなくなってしまう菌もいるので、実際光るキノコは十数種類といったところらしいです。
また、キノコというと秋のイメージがありますが、光るキノコのほとんどは梅雨の時期に発生します。ツキヨタケだけは、秋の長雨の時期に発生します。
今私たちは、光るキノコがあると知っているので、ああ、キノコが光ってる、面白いなきれいだなと思えます。でも、昔の夜は今よりも闇が深く、人は明かりもない暗い森の中でぼんやり光るキノコを見て、妖だーー!狐灯だーー!幽霊だーー!と驚いていたんでしょうね。
なぜ光る?本当のことは、キノコのみぞ知る

このイラストはヤコウタケです。グリーンペペなんていう、可愛い名前もあります。とても強く光るキノコで、伊豆諸島や沖縄、小笠原や九州の南の方など、暖かい場所に多く生えています。
光るキノコって、何で光ってるんでしょうね?
実は2026年、今この記事を作成している時点で、何で光っているのかわからないんです。
光るメカニズムは2018年にわかったのですが、(あとで少し触れますね)何の目的があって光っているのかがわからない。
いろんな説があるんですよ。
アルソック説
光るキノコを食べに来た虫を、追い払ってくれる誰かを呼んでいる説です。誰を呼んでるのでしょうか?
棚ぼた説
光るキノコに集まってきた何かが、光るキノコの得になる何かを持ってきてくれているのでは?という棚ぼた説。光るキノコにいいものって何でしょうね。
光ってますよ説
光を嫌う虫などを、寄せ付けないように光っているという説です。
栄養独り占め説
光るキノコに寄ってきた虫や小動物が、光るキノコを食べて、まずい!となれば周囲に生えている美味しいキノコの方へ行ってくれるのでは?そうすれば、光るキノコは他のキノコより栄養を多く取れるのではないかという説。
有毒説
毒持ってるから食べないでねというアピールです。
実は後で出てくるツキヨタケは人間にとっては毒きのこなんですが、虫は普通に食べに来ます。しかもツキヨタケは昼間も光っていますが太陽光で見えないので、普通に美味しそうな茶色いキノコに見えるんです。
胞子運んでください説
光って虫を呼んで食べさせてあげる代わりに、胞子を他の場所へ運んでくださいという説です。
でも、虫に運んでもらうより、風に運んでもらう方が、効率よくないですか?とも思うのですが、キノコは強く光る時に胞子を放つことが多いと言っている方もいます。
強く光って、食べに来た虫や小動物の起こす小さな振動で、胞子が飛び出すということも考えられなくもないですね。
挙句の果ては、
何の意味もない説
ただただ、だれも見てない夜の森で、黙って光っているだけ。何の意味もない。
キノコに聞いてみたい。あなた、どうして光ってるの?光ると、なにかいいことあるの?きっとキノコは「………」なんでしょうけどね。
ただ、この説に対しては「光るのにエネルギーをたくさん使っているかもしれないから、それはないだろう」という反対意見も出てきますね。
しかし、実際はキノコが光るのに使っているエネルギーはとても少ないそうなので、意味なし説もありですね。
もしかして、なにか、キノコの生理現象(生きるために体の中で行っている活動)をしたら、たまたま光っちゃっただけっていう可能性もあるので、だとしたら、意味なし説もおおいにありかもしれません。
光るキノコ見つけた!

このイラストはシイノトモシビタケのものです。写真がないので、今回はすべてAIにお願いして描いてもらっています。
このキノコの学名はラテン語で「天国の光のキノコ」という意味を持ちます。
光るキノコに注目する人が現れたのは、なんと、今から350年以上前のことです。イギリスの人が「光る枝がある!」と注目しました。まだ、発光キノコになっていないのか、菌そのものが発光菌類で、枝について光っていたようですが。
170年前には昆虫で有名なファーブルさんも光るキノコの研究をしていたそうです。虫だけじゃなかったんですね。
それからはしばらく進展はなかったようですが、1900年代に入り技術が発展したことによって一気に光るキノコの研究も進みました。
ちょっと難しいので簡単に、本当に簡単に説明すると、「ルシフェラーゼ」という発光酵素があって、それが「ルシフェリン」という発光物質を酸化させることで、光るそうです。
ただし、この物質は光らせることに関与している物質の総称なので、ホタルの場合は「ホタルルシフェリン」となります。
キノコの場合これだけではなく、長くて難しい名前の物質が2つほど関係あるみたいなのですが、それは専門の方におまかせしましょう。
光るキノコや菌は、みんなこのシステムで同じ物質で光るようになっています。そのため光るキノコの色は強弱の差はあっても、みんな同じ緑色になるのです。そして光るキノコは、その物質があるため24時間光りっぱなしなんですよ。
光るキノコのからくりが、他の植物を光らせる

これはエナシラッシタケというキノコで、レンコンみたいなハチの巣みたいな形をしています。八丈島のヤシの落ち葉に生える、とっても小さなキノコです。このイラストはAIにつくってもらっているので、ちょっと大きく見えますね。
このキノコの名前を見たときに、変なところに「ッ」が入ってて、イタリアン人かな?と思ったのですが、「エナシ」の部分はこのキノコに「柄がない」ところからきているようです。
2020年に「ガーネットオチバタケ」という赤いキノコがうっすら光っているという発見があったそうです。

それだけではなく、八丈島にしかないと思われていたヤコウタケが、日本のあちこちで発見され、青森県でも見つかったとのことなので、これからどんどん新しい光るキノコが発見されるかもしれません。
ここで紹介したキノコのほかにも、アミヒカリタケとか、スズメタケ、アリノトモシビタケ、ホシノヒカリタケ、コンルリキュウバンタケ、なんて光るキノコもありますしね。
コンルリキュウバンタケは白い可憐なキノコなのですが、柄の根本がとてもきれいな紺瑠璃色をしているのが名前の由来です。
キノコが光るメカニズムがわかったとたんに、私たち人間はそれを利用することを考えます。
アメリカのある会社が、光る植物を生み出そうとしているようです。今のところ、キノコのように自分から発光する植物はないそうなのですが(正確にはキノコは植物ではなく菌類)、光る酵母の遺伝子レベルの研究により、光る植物をすでに開発したとか。
それはペチュニアという植物で、かなり明るく光る個体ができたそうです。
将来的には光る街路樹とか、光る観葉植物なんかを作りたいそうですよ。実際に2024年4月には光るペチュニアの販売予約受付が開始され、現在では販売されているとか、なんとか……
街路樹が光ったら治安的にも安心ですし電気代もかからない。我が家の観葉植物が夜光ってくれたら、幻想的でいいなぁなんて、夢が広がります。
人間ってなんでも利用しちゃうんですね。
やっぱりいた、毒キノコ

さて。キノコと言えばやはり外せないのが、毒きのこです。
イラストはツキヨタケの夜の姿(裏側が光ります)ですが、昼間はヒラタケのような茶色い色をしています。
ほとんどの光るキノコは小さくて数mmから数cmなのに、ツキヨタケは実もふっくらしていて大型。なかには20cmを超え、30cm以上にまで成長するものもあり、食べでがあって美味しそうですが、毒きのこです。
シイタケやヒラタケ、ムキタケなどの食用キノコと生えている場所が近いので、誤食があるとか。さらに実際、間違って食べてしまった人の感想からすると、たちが悪いことに、美味しいらしいのです。

実はツキヨタケは平安時代から、毒キノコとして知られていたらしく、今昔物語の中に「和太利(わたり)」という名前で出てきます。現在も地方名として「ワタリ」と呼ばれるのでツキヨタケに間違いないのでは?とされています。
この和太利をつかって、毒殺未遂を起こした話が載っているそうですよ。
実際はお腹が痛くなったり、吐いたり下痢をしたりというかなりつらい症状が出る、消化器系の強い食中毒を起こすらしいです。
キノコは本当に不思議で奥が深い生き物なので、自分で取って食べようと思うのはおすすめしません。どうしても食べたい場合は、本当に詳しいプロの人に見てもらってくださいね。
まとめ
光るキノコをご紹介してきました。まだまだ謎の多い光るキノコですが、キノコ自体謎の多いとても不思議な生き物なので、これから新しい研究発表がされていくのかもしれませんね。
光っているのに、その理由がわからない。なんて、ミステリアス。光る意味がないかもしれないなんて、面白過ぎると筆者は夢中になってしまいました。
夜の森で人知れず光るキノコをここまで研究してくださった先生方は、ハブや虫などと戦いつつ、夢中で光るキノコをカメラに収めたことでしょう。でも、筆者はインドア派。光るキノコを見てみたくても、夜の森は無理。虫やハブとも戦えません。
魅力に取りつかれた結果、光るキノコのマグネットを探し出してしまいました。現在、キッチンで作業が終わって蛍光灯を消すと、ぼんや~~り光って楽しくて、一人でにやにやしています。
御本を書いた先生もおっしゃっていましたが、かなりリアル。昼間は普通の色をしています。気になった方はこちらをのぞいてみても、いいかもしれません。
今晩もどこかの森の中で、キノコは黙ってただただ光っているのでしょう。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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では、またのお越しをお待ちしております。


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