あなたの近くに植物はありますか?花瓶に生けた花でも、観葉植物でも、庭に生えていてる雑草でもかまいません。
植物は穏やかに静かに、平和に暮らしている感じがしますよね。緑は目に優しいし、お部屋に観葉植物が一鉢、あるいは花瓶に野草の花を1本いけておくだけで、その空間がリラックススペースになったりします。
でも、植物が普段生きている場所は、自然界です。自然界では動物でも植物でも、もれなく弱肉強食だったりするのです。植物はいろいろな相手と交渉したり妥協したり、時には競争したりしてきましたが、植物同士でも同じです。
そんな植物の素顔を、ちょっと覗いていきませんか?
植物同士のちゃっかりしてたり、ずるかったり、けなげだったりする生き残りの工夫をご紹介します。
ゆるりと見ていってくださいね。
※このテーマには続きがあります。
「植物の防御反応 植物は今日もサバイバル あまりにも多い敵と交渉中」はこちら。
「植物VS昆虫 植物の防御反応 植物は黙っていないで反撃しますよ?」はこちら。
「植物と動物 種をできるだけ遠くへ運んでください」はこちら。
日当たり良好物件、誰のもの?光合成

植物にとって光は、人間でいうところの食材みたいなもの。生きるためのエネルギー源を作り出す大切な材料です。
どれだけ効率よく光を受けて光合成をし、光という材料から栄養を作れるかで、成長する速度や作れる種の数など、子孫の残し方が変わってきます。
けれど、すべての植物がやっきになって光の奪い合いをしているわけではありません。

頑張って高く伸びて、一番てっぺんで光を浴びる植物もいれば、自分ではあまり努力せずに他の植物に頼る植物もいるのです。
また、光の争奪戦からリタイアして、自分なりの光の集め方をしている植物もいます。
それぞれの植物たちは、どんな方法で光を手に入れているのでしょうか。
茎?そんなに強くなくてもいいんです。つる植物

夏休みにアサガオを育てて、観察日記をつけた経験はありますか?支柱を立ててあげて、すくすくと伸びるアサガオに毎朝水をあげて、今日は何個花が開いているかな?と楽しみにしていた人は、結構いますよね。
また、最近の暑い夏を物理的にも、目でも、少しでも涼やかに過ごすために、グリーカーテンとして、ゴーヤーやキュウリなどを窓の外の網に絡ませて、育てているお家もたくさんあるでしょう。
これらの植物をつる植物と言います。

自立をせずにつるを何かに巻き付けて、光を求めて上へ上へと伸びて、葉を広げていきます。
大きな実をつけるトマトやナス、ピーマン、しっかりと大地に根を張って空へ延びる杉の樹などは、雨や風に負けずに自立するために、しっかりした茎や太い幹が必要です。それらを作って維持するためには、とても多くのエネルギーを使います。
つる植物は、他の植物みたいに太い茎や、幹を作ることすべてをやめました。他の植物や何かによりかかり、その分の栄養を成長の速さや葉の大きさ、花を多く咲かせたり、種をたくさん作ったりすることに回しているのです。

つる植物はひげやつる(細い茎)を伸ばして、旋回(ふらふらくるくると伸びる)しながら巻き付けるものを探します。巻き付ける何かに触れるとすぐに巻き付いて、そのつるは成長を止めます。そして、すぐ下に待機していたひげやつるが今度は成長しつつ、巻き付けるものを探すという形で成長していきます。
他の物や植物に頼れば、大変な思いをしなくても種を残すために、早く成長できることをつる植物は知っているのです。
つる植物が他の植物などに巻き付いて、上へ上へと伸びるのは少しでも多く光合成をするためなので、光を遮るものがないところでは、地面を這って成長します。植物などに光が遮られれば、その植物に絡みついてまた上へと成長し、てっぺんまで行ったらまた横へとつるを伸ばしていくのです。
ちょっと困ったクズの話

クズというつる植物があります。葛湯や葛餅の原料になる植物です。
このクズの根からとれるでんぷんはとても高級品で(掘り出すのが想像を絶するほど大変。抽出するのも、ものすごく手間がかかるんです)、特に本葛(ほんくず)の葛粉は白いダイヤモンドなんて呼ばれたりします。葛餅、美味しいですよね。
そのクズですが秋の七草にも数えられる、マメ科の日本在来種です。
しかし、野生化しているクズの生命力はほぼ最強といっていいほど成長が早く(1日に数センチ伸びる)、他の植物を覆って枯らしてしまったり、電柱を登って電線に巻き付いたり、景観を損ねたりとやりたい放題の問題児です。

よくあることですが、在来種でもこの威力なのに海外に渡ってしまうと、生態系が違うので(天敵、病気、害虫がいないなど)大繁殖して多大なるご迷惑をおかけすることも。(されることも・・・)
アメリカではグリーンモンスターと呼ばれて、嫌われものになっているそうです。
「蔓延(まんえん)」という言葉は、よろしくないものごとが一瞬で広範囲に広がる、あまり良い意味の言葉ではないのですが、そこに「蔓(つる)」という字が使われているのは、少し残念な気がします。
競争はしません。雑草の話

「雑草のように強く」「雑草魂」なんて言葉、聞いたことありますか?踏まれても抜かれても頑張って育つ、強い植物のように言われることが多いようです。
そもそも雑草ってなんだ?とお思いの方もいると思いますが、雑草は人間が、「邪魔だなぁ~」って感じに(英語のweedから)ざっくり名付けた言葉で、雑草という植物はいません。植物には必ず名前があるからです。
さて、雑草と言われる植物たちは、実はとても弱い植物たちなのです。
雑草が生えている場所を想像してみると、アスファルトの隙間、家のブロック塀の脇、花壇、畑や田んぼの脇、空地、公園など人と関わりがある場所が多いようです。

雑草は弱いから、他の植物が選ばない不安定な場所(踏まれたり、抜かれたりする)を選んで、他の植物と競争しなくても済むように生きています。
実は森林や山など、大きな木が育つような自然豊かな場所には、私たちが雑草と呼んでいる植物はあまり見かけません。木々が生い茂るような場所は環境が良いだけに、太陽の光が届き、水や栄養が豊富です。その分、植物同士の競争がすごくて、雑草はたちうちどころか参戦すらできず、生きられないのです。
そんな雑草たちが、他の植物と競争しなくても済むように、工夫した生き方を見てみましょう。
雑草界の変態、オオバコ

普通の植物は踏まれると葉が破れたり、花をつける茎が折れたりして、下手をすると枯れてしまいます。それなのにそんな苦行のような、他の植物にとっては良くない環境、人に踏まれる場所に好んで生えるのがオオバコです。
オオバコは葉や花茎に丈夫な繊維をたくさん持っている上に、踏まれない土の中に成長がさかんな部分を持っています。踏まれて多少葉がちぎれたりダメージを受けたりしても、すぐに新しい葉を伸ばせます。
オオバコの種は雨が降ったり、人が水まきをしたりして濡れると、ぬめっとした粘着物質を出します。そして、踏まれたときに、靴や自転車、車のタイヤなどについて、種を遠くへ運んでもらうのです。
他の植物との競争を避け、踏まれる場所を選んだオオバコはむしろ「踏んでください、お願いします。」と、生きている雑草なのです。
おとなしそうで意外とアクティブなカタバミ

カタバミはハート形の3枚の葉を持つ雑草で、道端や庭などいろいろな場所で見かけます。
カタバミは日の光を求めて、上へ上へと伸びる競争をやめて、地面の表面を覆うように這うというスタイルを選択しました。
日の光を少しでも多く手に入れるために上に伸びるのではなく、それぞれの節から根を伸ばして、横に伸びるのです。自分は他の植物の陰になっても、逆に他の植物の日当たりを邪魔することはあまりありません。
そんなひっそりとおとなしく生きているカタバミですが、種をまく時は知らないとびっくりする方法を取りました。はじけて飛ぶのです。

カタバミの種は小さなオクラのような形をしています。これに触ると、皮がはじけて中から小さい種が飛び出します。だいたい1~2mくらい飛びますが、条件が良ければ3~4m飛ぶ場合もあります。
おとなしく地面を這うカタバミの、一世一代の華々しいイベントです。
私の名前、ヒガンバナの話

いろいろと競争を避けて生きている植物のお話をしてきましたが、私の名前に使わせてもらっているヒガンバナも、競争をせずに生きている植物の一つです。
他の植物とは違う生き方

ヒガンバナは秋のお彼岸の頃になると、一斉に赤い花を咲かせます。急に花が咲いたら、植えたつもりもないのに、一体どこから来たの?と思うかもしれません。
ヒガンバナは種を作らず、球根で育つ植物です。そのため、庭や畑で突然咲いたように見えても、どこかから持って来た土の中に、小さな球根が紛れ込んでいたのかもしれません。
ヒガンバナは秋に花を咲かせたあと地上部分は枯れて、まるでいなくなってしまったかのように感じます。でも実は、球根が土の中にいて、寒い冬に地上へ出るための準備をしているのです。
冬の太陽は春や夏に比べて弱く、外気も寒いのであまり植物に優しくないように感じますが、ヒガンバナにとっては絶好の光合成のチャンスタイムなのです。
他の植物があまりいない分、広く葉を広げて光合成ができます。寒くても日が当たれば暖かいですし、日が短くても葉をたっぷり広げれば、球根を育てるための光合成もちゃんとできるんです。
そして春になって他の植物たちが芽吹くころには、地上部の葉は枯れて、土の中で球根をじっくり育てます。
いつも同じ場所で咲く?実は別の花でした

ヒガンバナは花を咲かせられるくらいまで球根を育てるのに、何年もかかります。そして、球根は少しずつ土の中で増えてもいます。いわば、クローンです。ソメイヨシノのように、同じ遺伝子を持っています。
まだ、花を咲かせるまで成長していない球根も、冬になると地上に葉を広げて光合成をして、栄養を作ります。こうやって何年かかかって花を咲かせるまでの栄養を貯えた球根が、同じような場所で花を咲かせるのです。だから、同じような場所で咲いていて、遺伝子は同じでも、違う花なんですね。
種を作らないのに咲く花の謎

ヒガンバナは球根で増えていく植物です。種は作りません。種を作らないのに、どうして花を咲かせるのでしょうか?しかも、アゲハチョウの仲間が好きな蜜まで用意して。
実は、ヒガンバナは中国から渡ってきた植物で、自生地中国では「コヒガンバナ」という品種でした。コヒガンバナは受粉して種を作ることができます。このコヒガンバナの突然変異で種を作れないのが、今、日本にいるヒガンバナなのです。
日本のヒガンバナは、親のコヒガンバナの遺伝子を持っているためと、植物の本能のようなもので花を咲かせるようです。なごり?のようなものなのでしょう。
日陰、じめじめ、大丈夫です。ドクダミ

ドクダミは他の植物があまり得意ではない、日陰で湿度が高く、じめっとした場所が好きです。日当たり、風とおし良好な場所取り競争はしません。
ドクダミは地下茎といって、地下に長く広く網の目のように伸びる茎を持っています。その茎の節々から芽を出し、地上に葉を出して花を咲かせるのです。
ところが、ドクダミは花を咲かせても花粉を作ることができません。(ちょっと難しいので説明は省きますね)クローンの種といった感じのものを作って、増えていきます。
そしてなんといっても、地上部を刈っても一節でも地下茎が残っていたら、瞬く間に増えるという生命力を持っているのです。
日陰でも、じめじめでも、生きていける自信があるのかもしれませんね。
知ってる?タンポポのお話

普段意識しなくても、私たちの視界によく入ってくる雑草に、タンポポがあります。黄色い花をさかせたあとの綿毛を、ぽきっと折ってふーっと飛ばしたことのある人は多いことでしょう。
タンポポの葉は、地面にぺったりくっついて広がる「ロゼッタ葉」といいます。踏まれても折れにくい形ですね。
そもそも「雑草は踏まれても折れない」というのは、人間側の大げさな見立てで、何回も踏まれたら折れちゃいますし、枯れてしまうこともあります。
ときどき倒れたまま花を咲かせているタンポポがありますが、茎を踏まれて倒れたわけではありません。葉が踏まれたことにより、ここは踏まれやすい場所だ、と判断して最初から茎を横にのばして花を咲かせることにしたようです。

一年中なんとなく見かけるタンポポですが、実は真夏以外はいつでも咲いている雑草です。花が終わると一度倒れ、種を作って綿毛ができると今度は、花よりも茎を長く伸ばして、風に少しでも遠くまで種を飛ばしてもらいます。
そんなタンポポは在来の日本タンポポと、西洋タンポポがあるのをご存じでしょうか?ぱっと見はよくわからないので、日本タンポポと西洋タンポポの違いをご紹介しましょう。
咲く時期・場所

実は日本タンポポは、春にだけ花を咲かせます。それに対して、西洋タンポポは真夏以外、ほぼ1年中花をつけています。
自然が豊かな場所に群生して咲くのが日本タンポポで、街中や公園、街路樹の下やアスファルトの隙間などにぽつんと咲いているのが西洋タンポポです。
咲く場所の理由

日本タンポポは春にだけ花を咲かせて、とっとと種をまいて根だけ残してさくっと地上部は目立たなくなってしまいます。
それに対して西洋タンポポは、ほぼ1年中花を咲かせてせっせと種を作り飛ばしています。
これは日本タンポポと西洋タンポポの生えている場所に関係しています。
日本タンポポの生えている場所は自然環境としては、豊かな場所です。そのため、夏になって他の植物が元気よく茂ってくると、地面に生えている日本タンポポまで太陽の光が届かず、光合成がしにくくなるんですね。それなら、競うのはやめて次の春まで寝て待とう、というのが日本タンポポです。
西洋タンポポが生えている場所は、街中や公園、街路樹の下やアスファルトの隙間など、他の植物が生えづらい場所なので、場所取り競争はしません。そのため春以外になっても普通に光合成ができるので、ほぼ1年中花をつけて種を作れます。
種

日本タンポポは、西洋タンポポよりも大きめの種を作ります。大きな種は大きな芽を出して育つのです。
西洋タンポポは、日本タンポポよりも小さい種を作りますが、小さい分軽いので、風に遠くまで運んでもらえるというメリットがあります。
日本タンポポが自然豊かな場所に群生して咲くのは、種を作るために他の花の花粉が必要だからです。ハチやアブに他の花の花粉を運んでもらうためには、群生して一度に咲くのが種を作るためにも都合がよいのです。
一方、西洋タンポポは自分の花粉で種を作ることができます。これを「自家受粉」といいます。そのため、ハチやアブがいなくても、近くに他の花がいなくても種を作れるのです。
西洋タンポポが強い、日本タンポポが弱いと感じる方がいるそうです。それはもしかしたら、日本タンポポが群生できる自然環境が少なくなってきて、日本タンポポを目にする機会が減ったということかもしれません。
どちらのタンポポも、自分の個性に合った場所で、自分に合った生き方をしているのです。
次世代タンポポ誕生?

2023年時点で、なんと、日本タンポポと西洋タンポポのハイブリッドが出現しています。
ぱっと見では区別が難しいですが遺伝子的に調べると、どうやらどちらかの花粉がどちらかに受粉した結果、日本と西洋の色々な個性を合わせ持つタンポポが多く存在するようです。
いろいろな個性を持つタンポポ、なんだか楽しくなりますね。
競争したくない雑草を、人間がお手伝いしてます

実は、雑草の種は人間が育てようと思っても、なかなか芽を出してくれません。光、水、空気など発芽にはいくつかの条件があるのですが、雑草の条件は人間が栽培している植物よりも難しいようです。
それはなぜかというと、栽培植物のように肥料をくれたり、害虫を追っ払ってくれたり、水をくれたりとかいがいしくお世話をしてくれる、人間のような存在がいないからです。
それでも、雑草と呼ばれる植物たちは人間のすぐそばに寄り添っています。なぜでしょう?
実は、雑草の種の多くは日の光を浴びて初めて、芽を出します。「あ。今、芽をだすタイミングかな?」そんな風に判断しているのかな?と思います。しかも、同じ種類でも芽をだすタイミングが違います。せっかち種も、おっとり種も存在します。

これは、栽培植物と違って人間に守られているわけではないので、一斉に芽を出した時、万が一何かが起きたら、その種類の植物が全滅してしまう心配があるからです。
洪水や旱(ひでり)、除草剤をまかれたとか、いきなり雪が降って凍えて枯れてしまうとか、人間のしわざふくめ自然界では何が起こるかわかりません。
だから、植物の種類が絶滅してしまわないように、種を土の中に眠らせておいて、安全に違うタイミングで芽を出すことにしているのです。保険ですね。
そして、その芽を出すタイミングは人間が草刈りや雑草抜きをして、地上に一時的に雑草がなくなる時なんです。

競争したくない雑草たちは、種に光があたったイコール、地上に競争相手がいなくなった、だから、芽を出してもいいんだな、ということになります。
踏んで種を運んであげたり、土を移動して球根を運んだり、ぽきっと折ってふーっと種を飛ばしてあげたり、ライバルを抜いてあげたり。これって、人間が雑草の生活のお手伝いしてあげてる?
植物同士でも毒を使いますよ?

植物は食べられないように、昆虫や動物に対して毒を作って対抗することがある、というお話はしてきました。
ところが、植物の中には他の植物に対しても毒のようなものを使って、自分が有利になるように生きている植物がいます。
競争しない道を選んだ植物がいる一方で、かなり強く他の植物をけん制する生き方をしている植物もいるのです。根や葉、茎から、化学物質を出して行われる競争です。(競争というには少し強めですが)
植物は根や葉、茎からいろいろな化学物質を出して、「ここは私の場所だから、入ってこないで」、「僕に近づかないで」などと主張して、他の植物の発芽や成長を邪魔します。
これを「アレロパシー」といいます。

具体的には相手の種を発芽しづらくしたり、他の植物の害になって成長しづらくしたりして、自分が生きやすい環境をつくります。
アレロパシーを全く持っていない植物があるのかどうかはわかりませんが、強弱の差はあれど、ほとんどの植物がアレロパシーを持っているようです。
(ちょっと難しいのでここスキップしてもいいですよ)実は、「アレロパシー」という言葉は、植物同士だけでなく、昆虫や菌、微生物など生物同士が「お互いに影響しあう」ということを意味していました。助け合う場合もあれば、逆に成長を妨げる場合もあります。
ただ、植物の記事や本では「植物同士のいやがらせ」のような意味に使われていることが多いですね。
近づかないでください。クルミ

クルミパン、美味しいですよね。ミックスナッツの常連でもあるクルミですが、実は、種類によっては強力なアレロパシー物質で、他の植物を寄せ付けない、周囲と距離をおきたいタイプの植物なんです。
昔から、クルミの木の下には他の木や雑草が生えないことは知られていました。北米のクログルミや、日本では、特にオニグルミの周辺でこの現象がよく見られます。
クルミのアレロパシー物質は「ジュグロン」といい、もっとも古くに発見されたそうです。
この物質はクルミの樹皮や葉、果皮、根などに含まれておりとても強力で、他の植物の光合成や蒸散(葉から水分を発散すること)、呼吸や水分の吸収などの邪魔をします。
あまりにも他の植物を排除するので、人間が除草剤のヒントとして利用するくらいです。
クルミはソーシャルディスタンスに厳しい植物なんですね。でも、自分の子孫を守るためだと思えば、親心としては仕方のないことかもしれませんね。
発芽、成長、瞬発力はまかせてください。ソバ

ソバ。さっきから食べ物の話ばかりですが、ソバ、大好きです。その美味しいソバは、お米にも劣らない栄養を持っています。
このソバは雑草との競争にとても強い植物で、根や葉にあるアレロパシー物質は(複数種類あります)、雑草の発芽や成長を妨げる働きをします。
ところが、ソバが雑草との競争に強いというのは、アレロパシー物質に頼ったものだけじゃないんですね。
実はソバは雑草よりも早く芽を出し、すばやく育って大きな葉を広げ、根から栄養をぐんぐん取り込み、あっという間に2~3ヵ月で実をつけます。

ソバの大きな葉の作る影で地面には光が届かず、旺盛な食欲で土から栄養分を吸収するので、雑草の入り込むすきがないんです。
さらに、人間にとっても嬉しいことは、焼き畑で栽培できるので農薬や肥料もほぼいらない、小さい白い花が満開に咲く景観は素晴らしく、しかも肥沃な土地でなくても育つ、一石何鳥も得られる植物です。
ソバは普通に育っているだけですが、周囲の雑草を寄せ付けない瞬発力とハングリー精神を持っています。アレロパシーだけに頼らず、スタートダッシュの実力で勝負する、トップアスリートのように感じてしまいます。
なんて働き者!ヘアリーベッチ

ヘアリーベッチという名前を聞いたことがありますか?実は私はこの記事を書くにあたり、初めて聞いた名前でした。
冬の間使っていなかった田んぼが、春になったらピンクのじゅうたんで敷き詰められた風景を見たことがあったら、おそらくそれはヘアリーベッチの花でしょう。それなら私も見たことがあります。
ヘアリーベッチはマメ科の植物で、春に可愛らしいピンクの花を咲かせます。
花が終わると一斉に倒れて、田んぼを覆いつくします。ここからがヘアリーベッチのお仕事です。
ヘアリーベッチのアレロパシー物質は「シアナミド」といいます。この物質、茎や葉、根にも存在します。そして、なんと、農薬と肥料、両方の働きをするのです。
シアナミドは、人間が使う「石灰窒素」という肥料の主成分でもあります。この肥料は栄養を与えるだけでなく、雑草や病原菌を抑える働きもあるそうです。

ヘアリーベッチが倒れて田んぼを覆いつくすと、雑草の種に光があたりません。そのため、雑草は生えづらくなります。さらにアレロパシーの強い効果で、除草や殺菌、殺虫作用があると言われているのです。
そして、ヘアリーベッチが分解されて土に戻ると、土の栄養として窒素肥料のような働きをします。
さらにさらに、ヘアリーベッチが溶け込んだ土は、夏涼しく、冬暖かく、雨も吸収しやすい。
春の訪れを可愛いピンクの花で告げ、花が終わると雑草を抑え、土の栄養になり、土壌環境まで整える。なんて働き者なんでしょう。
きっとただの植物同士の競争の一種なのでしょうが、すべてが人間のためになるなんて、ありがたいアレロパシー効果ですね。
悪目立ちしすぎた、セイタカアワダチソウの末路

アレロパシーについて読書をしていると、必ず登場するのがこの、セイタカアワダチソウです。
北米原産のキク科の植物で、地元では1mにもなりませんし大繁殖もしません。しかし、日本では一時期大繁殖。群生して、2~3mまで育っていました。
セイタカアワダチソウの花はふわふわとした黄色で、群生している姿は黄色いじゅうたんのようで、ああ、秋が来たんだなぁと思わせてくれます。

ハチにとっては秋になって花が少なくなって来たので、セイタカアワダチソウの蜜はありがたかったかもしれませんが、美味しくないといううわさも。仕方なく食べていた?と思ってしまうのは意地悪でしょうか。
もともと明治時代に鑑賞用として日本に来た、セイタカアワダチソウ。思いのほか種の量が多く(1本につき27万個くらいあるという説も)、しかもタンポポよりも小さく軽い種が綿毛によって、より遠く、より広範囲に飛ばされたのが、大繁殖の始まりでした。
大繁殖の原因
まずは、セイタカアワダチソウが大繁殖した原因をみてみましょう。
天敵がいなかった

セイタカアワダチソウは外国から来た新参者でした。そのため、当初の日本の生態系の中には、セイタカアワダチソウの天敵も、病害虫もいません。外国へ来て病気も敵もいないとなれば、嬉しくなっちゃてはしゃいじゃって、やりたい放題になってしまうのもわかる気がします。
根が深かった

セイタカアワダチソウの根は、とても地中深くまで伸びます。だいたい、50cmくらいでしょうか。そうなると、浅くしか根を張れない他の植物の栄養分を、独り占め出来てしまったのです。
秋は以外と長い。開花時期

セイタカアワダチソウの花期は、9月~12月と晩夏から初冬まで続きます。その間ずっと咲きつづけ、膨大な数の種を作っては飛ばし、作っては飛ばし。しかも、長い根を苦労して抜いたとしても、少しでも地下茎が残っていれば仲間を増やせるのです。それは、増殖しますよね。
ロゼット葉で越冬

冬になると、セイタカアワダチソウはロゼット葉になり、地面にぺとりとくっつきます。そうすることによって、冬の寒さや乾燥から身を守れるんですね。さらに、今まで地上の空間を独占して来たおかげで、他の植物に日の光を邪魔されません。弱い冬の光でも、光合成はし放題だったんです。
孤独に繁殖

雑草の種は日の光を感じて初めて、「あ、地上には今他の植物は誰もいないな」、と芽を出します。ところが、セイタカアワダチソウは2mも3mも伸びて繁茂するものですから、地面の中の雑草の種は日の光を感じられないので、芽を出せません。結果、独り勝ちという孤独な繁殖となったのです。
侵略的外来種としての末路

セイタカアワダチソウのように、自生地以外のところで大繁殖し、在来の植物や生物の命を脅かす存在を「侵略的外来種」といいます。そして、セイタカアワダチソウももれなく、侵略的外来種に指定されています。
クズやススキが、海外では侵略的外来種として厄介がられているのも、おそらく同じような原因なのでしょう。ススキはともかく、クズは日本でも厄介者扱いされていますからね。
どうしてやられっぱなし?在来植物

日本の雑草がどうしてセイタカアワダチソウに、一時的に駆逐されてしまったのか。それは、セイタカアワダチソウにとっても初めての土地ですが、日本の雑草にとっても初めての相手だったからです。
原産地の北米ではセイタカアワダチソウは在来種なので、他の雑草と切磋琢磨しつつも、バランスよく共存しています。セイタカアワダチソウのアレロパシー物質に、他の雑草も慣れているからです。
それに比べて日本の雑草は、初めての相手、初めてのアレロパシー物質だったので、対応ができずに発芽や成長を邪魔されっぱなしになってしまったようです。
シス・デヒドロマトリカリア・エステル

この、ひどく難しい名前。これはセイタカアワダチソウが分泌している、アレロパシー物質の名前です。
上記のような物質的な繁殖条件がそろっているにもかかわらず、セイタカアワダチソウはさらに、強力なアレロパシー物質までまき散らして、我が世の春を謳歌してしまったんですね。
この物質は、他の植物の種を発芽させない、発芽したら枯らす、成長させないという強い働きをします。「ここは私の場所だから、入ったら枯らす!」と言っているようです。あのクズでさえ、セイタカアワダチソウの群生には入り込みづらかったようです。縄張りを守るためとはいえ、強力すぎ。
自分の縄張りをかたくなに守り、自分の成長だけを優先して、他の植物を駆逐した結果・・・周りに自分以外なにもいなくなった。そうすると?この猛毒にも思える物質が向かうのは、ここに生えている唯一の植物、自分でした。
独り勝ちはなしです

いつのまにかセイタカアワダチソウは、1mを超えることをやめ、周囲を圧倒する迫力も勢いも影を潜めて、駆逐して来たススキやヨシ、アシなどの植物が元気になって来ています。
セイタカアワダチソウが以前のような猛威をふるえなくなった原因は、「自家中毒」だと言われています。
他の植物を遠ざけるために使われたアレロパシー物質が土の中に蓄積し、周りに植物が少なくなり、最終的には自分自身も影響を受けることになりました。種が発芽しづらい、発芽しても成長しづらい環境になってしまったのです。
なんとなく、しょんぼりして「ごめんね」とススキやヨシに寄り添う形になりつつあるセイタカアワダチソウが、気の毒にも思えるのは、私だけでしょうか。やりすぎはだめですね。
競争はしません、ときどきパラサイト。寄生植物の話
植物は生きていくために、太陽の光を葉に浴びる競争をしています。葉緑素(葉の緑色)を使って「光合成」を行い、「糖」を作り出すのです。これを栄養に変えて、生きています。
また、植物は土の中に根を張って、土の中にいる菌から栄養や水分をもらっています。根を張り合う場所取り競争は大変ですよね。
「植物は何色?」と聞かれたらだいたいの人は「緑色」と答えるでしょう。
さて、これらほぼすべてを、やめてしまった植物がいたとしたら?
実は、これらの競争をやめてしまった植物がいます。「寄生(パラサイト)植物」です。
寄生という生き方

寄生と言われても、よくわかりませんよね。エイリアンみたいな感じがして、気持ち悪いと感じる人もいるかもしれません。
簡単に言うと、自分では栄養を作らずに、他の植物が作った栄養や集めて来た水などをもらっちゃう植物ということです。
土の中では糸状の菌が根を這わせていて、植物の根に窒素やリン、カリウムや水などをあげる代わりに、植物が光合成で作った糖などをもらっているので、ギブアンドテイクが成り立っています。
寄生植物は栄養も水分ももらうだけで、お返しはしません。なんか、ずるいですよね・・

寄生植物が寄生先に選んだ植物を「宿主(しゅくしゅ)」といい、栄養分を吸い取るために伸ばす根を「寄生根(きせいこん)」といいます。」
完全寄生植物
寄生植物には2種類あります。完全に他の植物に頼り切って、全く競争をしなくなった「完全寄生植物(全寄生)」と、寄生しながら少しだけ自分でも光合成をする「半寄生植物」です。
半寄生植物のほうが完全寄生植物よりもずっと種類が多いのですが、ここでは、姿かたちがユニークな完全寄生植物を多くご紹介します。
ギンリョウソウ

ギンリョウソウは葉緑素を持たないため、真っ白です。しかも、ほぼ根も葉もありません。
落ち葉の積もった薄暗い林の中に、集団でぼんやりと白く浮き上がって見える奇怪な姿は、神秘的です。しかし少々怖く、「ユウレイタケ(キノコではない)」とも呼ばれます。その姿が美しいと見える人からは「水晶蘭」という名前も付けられました。
ギンリョウソウは土の中で、コナラと共生しているベニタケを通して栄養をもらって生きているのです。
ずっと土の中にいて、花を咲かせる時期にだけ、土の中から花だけを地上に出して種を作ります。
こんな根も葉もない、光合成もしないモノを「植物」って呼ぶのはどうなの?と思う人もいるでしょう。
植物の最終目的は子孫を残して分布を広げる事。ギンリョウソウは光合成をしなくても、真っ白でも、花を咲かせて種を作るので、れっきとした「植物」なんだそうです。
ナンバンギセル

ナンバンギセルは15cmから18cmのひょろひょろとした花柄で(茎にみえるけどちがう)、淡い紫色の花を横向きに咲かせます。
トウモロコシやサトウキビ、ススキやミョウガなどに寄生していて、小さい種をたくさん作る一年草です。
ススキに寄り添うように花を咲かせる姿は、弱弱しく見えます。ナンバンギセルは、万葉集の時代から、ススキに頼って生きていることが知られていました。詠み人知らずですが、その姿が「忍ぶ恋」としてうたわれています。
ただし、弱弱しくはないですよね。
ススキが頑張って茎や葉を伸ばして光合成をして、根を伸ばして栄養や水分を確保しているのを、よこから「いただきます」してちゃっかり子孫を残しているのですから。強か、したたか。
ツチアケビ

ツチアケビははっとするくらい鮮やかな、赤い色をしています。形はアケビに似ていて、完全寄生植物としては大型です。だいたい50cmくらいあり、大きいものだと1mくらいになるものもあるそうです。
地下では地下茎が横に這っていて、ナラタケというキノコを通して栄養をもらって、細かくて小さい種をたくさん作ります。
別名は「ヤマノカミノシャクジョウ」「キツネノトウガラシ」です。
ちょっと寄り道、森の中のクリオネ?

「タヌキノショクダイ」という植物がいます。
3本の角のある、白く透明なクリオネが、大きな口を開けたところを思い浮かべるような、不思議な花の形です。海の生き物といってもわからないかもしれません。1㎝くらいの小さい花を落ち葉の下にひっそりと咲かせます。
タヌキがろうそくをのせる燭台を持っている形ににているから、この名前になったという話もあります。
自生地は日本とブラジルなのですが、生態がよくわかっていないそうです。また、発見されてもすぐに絶滅してしまうので、現在は絶滅危惧種ⅠAに指定されており、育成地は国の天然記念物に登録されています。そのため、具体的にどこに自生しているかという場所は、伏せてあることがほとんどです。

おそらくは、真っ白で葉緑素を持たない、花が咲くまで土の中にいることから、ギンリョウソウの仲間ではないかとされ、菌類から栄養をもらっているのではないかと言われています。
姿が個性的で、生態がよくわかってない。しかも、すぐ絶滅してしまう不思議な植物。私たちの知らない植物の世界が、まだまだ広がっているんだなぁと、ロマンを感じてしまいます。
(写真がなかったのでAIでイラストを作ってもらいました。こんな雰囲気の植物です。)
ラフレシア

この名前を聞いたことがある人は、結構いるかもしれませんね。世界一大きな花として有名で、最大で直径1.5m、重さも10㎏以上になるそうです。しかも、もう一つ有名なのが、臭いということ。この、世界最大の花も、完全寄生植物なんです。(このイラストは私が描きました)
ラフレシアは1818年にスマトラ島で発見されました。ブドウ科の植物の根に、細い寄生根だけを差し込んで寄生しています。点滴を受けている感じでしょうか。
つぼみが出来てから咲くまで、7か月から2年もかかると言われていますが、はっきりとした期間はわかっていません。それだけ長い間、細い根から栄養をためて、ためて、世界一大きな花を咲かせるのです。咲いたと思ったら3日~4日しかもちません。

ラフレシアの臭い匂いは、「肉が腐ったようだ」とも、「魚が発酵したようだ」とも言われています。
ラフレシアには雄花と雌花があり、その匂いに誘われてやって来たハエが、花粉を運んでくれるのです。受粉できなかった花はその後、腐って土に帰っていきます。運よく受粉出来た花だけが、子孫を残すことができます。
ヤッコソウ

ヤッコソウは花が折り紙のやっこさんに似ている、あるいはやっこが行進しているように見えることから、名前が付けられました。一属一種しかない珍しい植物で、遠く東南アジアのラフレシアの親戚にあたるというから、びっくりです。
ヤッコソウは明治13年に高知県で発見され、発見した人も名前が付けられたのも高知県だそうです。
ヤッコソウの花茎は4cmから7cmくらいで、淡いピンクのこけしのような形をしています。集団で咲くのでぱっと見は乳白色っぽい感じです。シイの木の根に寄生します。
基本的に完全寄生植物の生息地は、暗くて風通しが良くないので種を作るには工夫が必要です。
ヤッコソウの場合は蜜をたくさん出すので、メジロやハチが花粉を運んでくれます。

少々脱線しますが、だったら花も咲かせなければいいじゃない、と決め込んだ寄生植物もあります。ヌカヅキヤツシロランやタケシマヤツシロランなどの仲間です。
花が咲かなきゃ種ができないんじゃない?と心配になりますが、この種類の植物は自分の花粉で種を作れるので、もう、花びら開くのやめてつぼみのまんまでいいや、とつぼみの中で自己完結します。
種は粉みたいに細かいものなので風に乗ることができるのです。
ネナシカズラ

ネナシカズラは実は、発芽したばかりの頃は根があると言われていました。
宿主の好き嫌いがないので、最初は寄生する相手を探すために根を伸ばすようにします。相手が見つかると寄生根を差し込んで養分をもらい、根のようなものは枯れてなくなってしまうそうです。これは根ではないという話もあるそうなので、根っぽいものが最初はある、という感じでしょうか。
ネナシカズラは宿主を求めて茎を這わせますが、なぜか人工的なものや弱っている植物には目もくれません。元気な宿主を見つけたら、寄生根を次々と差し込んで栄養をもらい、自分はすくすくと大きくなります。
大きなもので、1600m(1.6㎞)にもなった個体もあったそうです。ネナシカズラは薄黄色をしているので、「黄色い吸血鬼」なんて呼ばれることもあります。
栄養をもらいすぎると宿主が枯れて自分も枯れてしまうのですが、一部でもネナシカズラの茎が元気であれば他の宿主に移ってまた育ち始めます。とはいえ、相手を枯れさせてしまわない程度に栄養をもらう、というわきまえは持っているみたいですよ。
白っぽいし葉緑素はないっぽいから、光合成はしないだろうと思われていたネナシカズラですが、虫によってつくられる「虫こぶ」ができると、その場所だけ光合成をするらしいという研究もあるそうです。
このほかにも、「ヤマラン」「ヒノドラ」「ツチノトリモチ」「オニク」など、個性的な完全寄生植物がたくさんあります。
半寄生植物
半寄生植物は葉緑素を持っていて、自分でも光合成をするため葉や根の退化がそれほど進んでいません。そのため、言われて初めて、「え?寄生植物なの?」と知る植物が多いですね。
ビャクダン

お香にするととても良い香りの、高級香木のビャクダン。寄生植物だなんて、ちょっとびっくりですよね。私もこの記事を書くにあたり勉強するまで、普通にお香を使っていながら知りませんでした。ビャクダンは自分でも光合成をしながら、他の植物の根からも栄養をもらっています。
キンラン

絶滅危惧Ⅱ種に指定されているキンランも、半寄生植物です。キンランも自分で光合成をしつつ、カシの木やコナラの木の根に共生している菌から栄養をもらっています。
キンランは緑色の葉をしっかり持っていて、黄色い花を咲かせますが、まれに、葉緑素のない白い個体もあります。突然変異なのか、進化なのか、退化なのかわかりませんが、この場合は菌からの栄養に頼ることになりそうです。
セイヨウヒキヨモギ

最近分布を広げているのが外来種の、セイヨウヒキヨモギです。なんにでも寄生出来てしまうので、広がりが早いのかもしれません。
ヤドリギ

その中でも、ちょっとユニークな形をしているのがヤドリギです。
ご近所に、大きなケヤキの木が何本も生えている場所があります。秋になると黄金色に紅葉して、それは見事です。
冬になってふと見上げた時に、高い場所に丸い枝の塊のようなものを、いくつも見つけました。私はてっきり、カラスの巣の跡だと思ったのです。葉が落ちて丸見えじゃない、って少しおかしかったです。
ところが、記事を書くにあたり勉強していてびっくり。これ、ヤドリギじゃない?と。自分の目で半寄生植物を見ていたなんて、少し嬉しかったです。
さて、ヤドリギですが、地方によっては「カラスの植木」などと呼ばれています。美味しい実をつけて鳥に食べてもらい、種をフンと一緒に遠くへ運んでもらいます。
ヤドリギの種はべとべとしているので、木の幹や枝にくっついて発芽します。先がとがった寄生根を宿主に突き刺し、穴をあけて中に入り込み、水分や栄養をもらうのです。
ほとんどのヤドリギが寄生するのは、ケヤキ、エノキ、ブナ、サクラ、ウメ、ミズナラ、ボケなどの落葉樹で、常緑樹に寄生する種類はかなり少ないようです。
宿主は冬の間、葉を落として水分が逃げるのを防いでいます。ヤドリギは自分でも光合成しつつも、宿主の木からちゃっかり大切な水分や栄養をもらって、冬でも緑色にぬくぬくと大きくなります。
自分の葉を落としてまで水分を節約している、宿主の木としては、やっかいな居候です。

1本の木にたくさんのヤドリギが寄生してしまい、栄養や水分を吸いつくしてしまうと、宿主が枯れてしまいます。宿主が枯れてしまうと、ヤドリギも枯れてしまうのです。
そのためヤドリギは、ある程度は自分の光合成で栄養を補充して、宿主を生かさず、枯らさず・・・できるだけ長く楽をして生きていたいのかもしれません。
半寄生植物は寄生がうまくできないと枯れてしまう種類もいますが、なんとか自力で根を張って生きていく種類もいます。ですが、それだと成長も遅くなかなか大きくなれません。寄生して栄養や水をもらうということは、半寄生植物にとって大切なことなんですね。
やっぱり人の栄養は蜜の味といった感じでしょうか。
まとめ
長い文章をここまで読んでくださり、本当にありがとうございました。
植物の意外な生き方、少しでも楽しんでいただけたでしょうか。
植物は黙って静かに生きているように見えて、実は、ものすごく色々なことをしているんですね。
他の植物に寄りかかったり、競争をやめたり、植物に対しても毒をつかったり、寄生してみたり。なんて多種多様な生き方をしているんだろうと、書いていてつくづく思いました。
さて、植物と昆虫、植物と動物、ときて、今回の植物と植物でこのシリーズはいったんおわりです。でも、また、「あ!植物ったらあれとも交渉したり、折り合いをつけたり、競争したりしてたのか!」という発見があったら、また、追加で記事を作ろうと思っています。
次は何のシリーズを書くか、お楽しみにしていてください。
※このテーマには続きがあります。
「植物の防御反応 植物は今日もサバイバル あまりにも多い敵と交渉中」はこちら。
「植物と昆虫 植物の防御反応 植物は黙っていないで反撃しますよ?」はこちら
「植物と動物 種をできるだけ遠くへ運んでください」はこちら
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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では、またのお越しをお待ちしております。


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